声の感じは、朝より元気そう?

いつもの斎宮くんな感じがする。



「そ、それより熱は?下がった?」


「さっき測ったら37度5分まで下がってた」


「そっか。それならよかった」



とりあえず熱が下がって一安心だね。

あとは……。



「……なに?」



ジーっと舐め回すような熱い視線を向けていると、怪訝な顔をされる。



「……よしっ。顔色もだいぶ落ち着いたみたいだね」



体調が良いか悪いかは、その人の顔を見れば一発で分かる!って、昔お母さんが言ってたんだよね。

私も小さい頃、風邪を引いた時は、よくお母さんにジッと見られてたっけな。



そんな昔のことを思い出し、笑顔を零したわけだが、何故か斎宮くんには気まずそうに視線を逸らされた。



「て、ていうか。俺、保健室までどうやってきたの…?覚えてないんだけど」


「……んっ!?」



なっ、なんですと……?覚えて、ない……?



まさかのビックリ発言に目をパチパチパチ。



「何とか教室まで来たのは覚えてるけど……そっから記憶がないんだよね」



ま、まじですか!

そんなレベルで記憶障害……!



あの時は高熱で意識が朦朧としてたのかな?



立ってるのもままならないくらいフラフラしてたもんね。


……ほんと、よく学校来れたよね…。