そして、お昼休みがやってくる。



チャイムが鳴ると共に、誰よりも早く。

野球部が購買部にダッシュするよりも早く。



教室を一番で飛び出していた。



廊下を走らない、なんて当たり前のルールを無視して全速力だ。



斎宮くん、さすがにもう起きてるよね。

ちょっとでも良くなってたらいいんだけど。



色んな思いを募らせながら、再び保健室までやってきた。



保健室内は、シーンと静かで。

奥のベッドは、カーテンで仕切られたままだった。



「斎宮くん…?起きてる?」



そう声をかけながら、ゆっくりと歩み寄る。



「あ、開けるね……?」


「……」



……返事がないってことは、まだ寝てるのかな。



「……って、起きてるじゃん!」



カーテンを開けると、上体を起こした斎宮くんの姿があった。



びっくりしたぁ……。

寝てると思ってたから、心臓に悪いじゃん……。



「起きてるなら返事くらいしてよ」


「はいはい」