ちょっとだけ顔の赤みが引いたかな?

それに、呼吸も最初より安定したような。



薬が効いてくれてたらいいんだけど……。



いまだ赤い寝顔を見つめ、スカートの端をギュッと握った。



……昨日、私が気づいてたら、こんなことにならなかったのかな。

もっと斎宮くんのこと、ちゃんと見ておけばよかった。



ため息を零し、あからさまに落ち込んだ態度を浮かべる。



……ていうか、もっと私を頼ってくれたらいいのに。



どうして無理してまで、学校来てるんだか。

ビックリしたんだからね、まったく。



私が気づかなかったら、今頃教室で倒れてたかもしれないのに。



隣の席なんだし、友達なんだし……。

もっと私を頼ってよ、ばか。



斎宮くんが寝ているのをいいことに、ベーッと舌を出してみる。



私は……いつも斎宮くんに助けられてばっかりだった。



トイレの事件の時も、体育祭の時だって、そうだ。



いつも困っているときに、斎宮くんが助けてくれた。

困っていた私に、颯爽と手を差し伸べてくれた。



……それなのに私は。

斎宮くんに対してなんにもしてあげれていない。



ただうるさいだけで、鬱陶しいだけの友達。



私だって斎宮くんの力になりたいし、斎宮くんが困っているときは助けたい。



だから、かな。

さっき、「ここにいて」そう言われた時、不謹慎かもしれないけど、すっごく嬉しかった。



まるで自分が必要にされてるみたいで。

斎宮くんの近くにいていいんだ、って思えた。