掴まれた手から、斎宮くんの熱が伝わる。

ギュッと掴んで、離さなかった。



真っ赤な顔で、辛そうな呼吸を繰り返しながら、何か言いたげな目を向けていた。



な、なんだろう？

どうしたの、斎宮くん……。



「……いい、呼ばなくていいから」



弱弱しくて、どこか寂しそうな声。



「で、でも」



このままじゃ、斎宮くんが死んじゃうかもしれない……！

悪いけど、ここは強行突破をしてでも……。



「……朝桐が、いてくれればいい」



―――ドキンッ。



……えっ……。

いっ、いま、なんて……。



「……ここにいて」



いつもと違う甘えるような声。

熱が籠ったうるんだ瞳で訴えかけられる。



ず、ずるいよ、斎宮くん……っ。

こんな時に限って、そんな顔するなんて……っ。



しかも、そんなこと言われたら、もうなにも言えないじゃんっ……。