ドキドキと心臓を鳴らし、瞬きの回数が多くなってくる。



すると……



「……別に面白くないよ」



そう言いながら、読んでいた本の表紙を私へと向けてくれる。



「……?それ、英語の題名?……よ、読めない……」



何とか必死に読もうと小さな脳みそをフル回転させる。



が、どんなに努力しても読めないものは読めない。



私の英語の成績は万年C評価なのだ。



「…………バカなやつ」


「え?ごめん、いまなんて……?」



斎宮くんが何か呟いた気がしたけど、小さな声すぎて聞き取れなかった。



そしてそのまま本も片付けられ、私との会話を終わらせるように、窓の方へと向いてしまったのだった。



……残念……。

もう少し話したかったのに、私の英語力がないばっかりに……。



モジャモジャの後頭部を最後に一瞥し、私も前へと向き直る。



そして、こっそりと。

誰にもバレないように口元に弧を描いた。



でも、ようやく斎宮くんと会話が成立した!



これは友達への大いなる一歩だよ……!

斎宮くんもようやく私のことを認めてくれたんだね!!(?)



……よし。明日からは本トークで、斎宮くんの気を引いてみようかな。