真剣に読んでるみたいだし、声かけたら迷惑かなぁ。



でもでも、なに読んでるのか、すごくすごく気になる……。



数分、視線の行方を悩んでいると……



「……僕に何か用?」


「……えっ!」



声が聞こえすぐさま隣へ振り返る。



なんと斎宮くんが、私のほうを向いていたのだった。



「……さっきからすごい視線感じるから……」



メガネのブリッジ部分を中指で押し上げ、視線を私から僅かに逸らす斎宮くん。



……って言っても、メガネが厚すぎて、どこ見てるのか分かんないけど……。



「ご、ごめんね!その、さっきからなに読んでるのか、とても気になってて」


「……」



まさか話しかけてくれると思ってなかったから、き、緊張するーっ!



私……ちゃんと話せてるよね……!?



「斎宮くんって本が好きなの?それ、面白いの?」



焦りや緊張から、早口となって次々言葉が出てくる。