遺体となって発見された杏奈は、あの十字架のネックレスをつけていなかったという。

あれはどこに行ってしまったんだろう……。一体どこへ……。

勇吾は、ぼんやりと思いながら、校門をくぐる。

一連のおぞましい事件に加え、杏奈が変死体で発見されたことがとどめとなり、夢ヶ丘高校の生徒数は激減していた。

1年は特にひどく、残った生徒たちを寄せ集めてなんとか1クラスを作っている状態だ。
学校も生徒数を増やそうと、あれこれしているようだが、まさに焼け石に水となっている。

勇吾は最初、夢ヶ丘高校を去ろうとしていた。
事件のことがフラッシュバックしてきてしまい、体調を崩していたからだ。

しかし、それでもなお、この高校に残ったのには理由があった。