そ……そんなはずないよ。


 七星くんに自分の気持ちを伝えた時に、
 はっきり断られたもん。


 『ごめん』って。


 それに七星くんは、
 今でもクルミちゃんのことが好きでしょ?


 私の頭の中がパニック状態で、
 思考を強制シャットダウンしかけたとき、
 七星くんがさらに信じられないことを
 言い放った。


「俺、図書室に一緒に本を運ぶ前から、
 赤城さんのことが好きだったよ」


 それって、小5からっていうこと?

 
「実は俺、今までに2回、
 赤城さんに告白しようと思って
 勇気を出したことがあったんだ」


 私に告白?


 眼鏡でおさげのダサダサで、
 男の子に目を合わせなかった暗い私に?


「1回目は、中1の時。
 赤城さんのお母さんの命日だった。

 学校でも、
 すっごく辛そうな顔をしていたから
 俺が慰めてあげたいって思ったんだ。

 でも……
 一颯先輩にその時に言われた言葉が
 ショックすぎて……

 赤城さんのことをあきらめようって思った」


「え?
 お兄ちゃんが、七星くんに何か言ったの?」


「誰にでもニコニコ笑ってるだけのお前が、
 六花の苦しみを取り除けると
 おもってるわけ?って」


 え??


 おにいちゃん、
 そんなひどいことを七星くんに言ったの?


 もう! 
 帰ったらお兄ちゃんに問い詰めなきゃ!

 なんで、そんなことを言ったのよって!