「なんだよ、クソめんどくさーな!」


彼は私を引っ張りながらも前に進む。

ダメだ、力が...。

このままだと私のせいでなっちゃんまで...。

その時、近くでサイレンの音がした。


「ねえ、私が危険がわかって一人でここにきたと思う?」


そんななっちゃんの問いに彼の足が止まる。


「は?
そんなはったり.....」


サイレンの音はどんどん近づいている気がする。


「はったりかどうかはすぐにわかるんじゃない?」


どんどん、もう本当にすぐそばまで。

それは彼も気づいたようで、くそ!と言いながら逃げようとする。


「ちなみに、今までのやつ録画しているからね。
逃げても顔つきなんだからすぐにバレるよ。
無駄ってこと。わかるよね?」


サイレンの音はすぐ後ろまで来た。

前は携帯を突き出しているなっちゃん。