ラストシーンは、利用者さんの誕生日会を行うというものだ。その時に、岡田さんが私たちに福祉の世界で働いていてどうかと質問する。その部分には、最初から台詞がない。私たちの素直な思いを話して映画は終わりとなる。

「最後だし、頑張ろう!!」

結衣がそう言い、詩織が「最後のところ、うまくいくか心配……」と呟く。確かにおかしなことを言えば撮影は撮り直し。そうすれば、利用者さんにも職員さんにも迷惑がかかる。

「すみません。塗り絵や折り紙ってどこにありますか?」

緊張している私たちに利用者さんが話しかけてくる。颯が慌てて「ここです」と棚から折り紙などが入った箱を取り出した。

「利用者さんは、最初からみなさんのことを職員だと思ってるんですよ」

岡田さんが穏やかな顔で言う。その言葉に私はーーーううん、みんなは嬉しいと思ったはず。だって、みんなの顔はさっきのように強張ったものではなく、穏やかなものになっているから……。