「こら!実習生さんをいじめたらいかん!」

うん、私たちは本当の介護職員じゃないしね。利用者さんの言葉は正しいかもしれないけどーーー。

「吉岡さん!俺、村田太陽です!一週間くらい前からここで働いてますよ!!」

「あれ?そうじゃったかの?」

「吉岡さん!」

ショックを受けたような演技をする太陽に向けて、チェリーがニコニコしながら言う。

「いつも遅刻してくるから天罰が下ったんだね〜」

私を含め、詩織たちは笑うのを必死で堪える。太陽は「おい!!」と笑った。

「須藤さん、掃除を手伝ってくれない?」

職員さんの台詞に、私は「はい!」と元気よく返事をする。なんだか本当に働いているみたいだ。

映画の撮影は、穏やかに始まった。



映画の撮影は、台本の台詞よりアドリブの方が多い。でもそっちの方が言葉は自然と出ていいと思う。

そして、いよいよラストシーンを撮影する日がやってきた。最後の撮影の日だからか、みんなの顔には今まで以上の緊張がある。