私が言うと、岡田さんは「台詞などはどうするんですか?」と訊ねる。結衣が言った。

「台詞は一応考えましたが、利用者さんの言葉に私たちが臨機応変に対応していこうと思っています」

「これがその台本です」

颯が岡田さんに台本を見せる。岡田さんはじっくり目を通し、「なるほど!よく考えましたね」と微笑んだ。その表情に私たちは安心する。

「いい映画にしましょう!!」

「はい!!」

私たちは、よろしくお願いしますと頭を下げ、明日から映画を撮影することになった。

「うわ〜、緊張する!」

チェリーと結衣が胸に手を当て、詩織たちも緊張したような顔だ。もちろん私も緊張している。

でも、今回の映画の主役は誰でもない。みんなが協力するのだから、きっとみんなが主役。

「みんなで頑張ろう!」

私はそう言い、みんなに笑いかけた。



「この人たちは、今日から放課後にここに来てくれる人たちです」

職員さんに、私たちのことを紹介してもらった。利用者さんは興味津々といった様子。

「実習生?」

利用者さんの質問に、「映画を撮りに来たんですよ」と海斗が笑顔で説明する。

放課後、学校が終わってすぐに教室を飛び出し、これから撮影が始まるとなるとドキドキする……。