私が思いついたアイデアとは、認知症の人たちと映画を撮るというもの。まあ映画と言っても十五分程度のものだと思うけどね。

グループホームは、介護老人福祉施設などと比べると元気な人が多いと思うし、認知症の人にとっていい刺激になるかもしれない。

杉浦先生と伊藤先生が電話をしてくれている間、私たちは映画のストーリーを決めて台本を作ったりした。そして、学校の近くにあるグループホームが協力してくれることになり、私たちは早速足を運ぶことになった。

「こんにちは。施設長の岡田です」

放課後、福祉コースみんなで挨拶に行くとふくよかな体型の優しそうな女性が出迎えてくれた。私は、夏休みに実習に行ったことを思い出す。うわ〜、緊張する〜……。

「M高校福祉コースの小倉結衣です。これからよろしくお願いします」

結衣が代表で挨拶をし、私たちも自己紹介などをした。

「映画の撮影と聞いているけど、どのような映画を撮影するの?」

「グループホームで働き始めた新人さんのお話です。利用者さんと関わっていく中で様々なことを学んでいくというものです」