大好きな温もりに包まれて、落ち着く……
どころじゃなく、心臓が破裂しそうなほどドキドキしている
朝寝ぼけた海音に抱きしめられることはしばしばだけど、
優しく抱きしめられるのはすごく久しぶり。
『ねぇ結歌。キス…していい?』
私は頷くわけでも、首を振るわけでもなく、振り返って海音の目を見て
いいよ
って心で唱えた。
海音の整った顔がだんだん近づいてきて、目を閉じる。
唇に柔らかい感触を感じ、
チュッというリップ音と共に離れていった
目を開けたとき、キスしたんだ…ってちゃんと認識して、一気に体温が上がった。
ほんの一瞬触れただけの優しいキス。
今度は向かい合った状態で抱きしめられる
『結歌。お願いだから。もう1人でどこかへ行かないで。俺から離れようとしないで。』
その声は今まで聞いたなかで最も弱く、悲しげな声だった。