テーブルの横には、写真立てが何個か飾られていた。


私たちはイベントごとが好きで、ハロウィンとかクリスマスは、ちゃんと衣装を着て毎年写真に残すようにしている。

それらの写真が飾られていた。

きっとイベントが好きっていうよりも、お兄ちゃんは私が寂しくないように楽しませようとしてくれてるんだと思う。

写真の中の私は、どれも本当に幸せそうに笑っている。



「ご飯できたよ〜」


「お!ハンバーグじゃん!」


「記念すべき引っ越し後の初ご飯だからね!好きなものにしたよ」


「嬉しい〜。ありがとう、まこと」


そう言って、大きな手で髪を撫でてくる。

お兄ちゃんは自然とそうしてきたけど、私は不自然にその手を振り払ってしまった。


「…もう!いいから食べよう!」

「はいはい。いただきまーす!」


にっこり笑って食べ始めるお兄ちゃん。

向かいに座って私も食べる。


「ん!うまい!今まで食べたハンバーグの中で一番うまいよこれ!」

「大袈裟だって…」


美味しそうな顔。

この顔を見るために私は生きてるんだなって思う。