そう言って小林くんは、私の目の前に立って私の両肩を掴んだ。
「ちゃんと泣いたのかよ!?おまえっ」
「泣いた…?泣いたよ?ちゃんと…別れたあの日…余計なこと口にしたあの日…ちゃんと泣いたよっ!?」
小林くんが真剣な顔で言ってくるから、私の声はだんだんかすれてきてしまった。
「……まだ、足りてねーじゃん涙が…」
「なんで…そんなこと言うの?小林くん…っひく」
「泣け…全部吐き出せよ…」
そう言って小林くんは、私の頭の上に優しく手を置いた。
「う……バカぁ…バカー…」
そして私は、駅前だということを忘れて人前で泣いてしまった。
そんな私の手を引き、小林くんは鞄が置きっぱなしのベンチに戻って私達は座った。
ハンカチはないからと、街角でもらったというポケットティッシュを私に渡してくれた。