「小林くんっ!」


私がそう呼ぶと、近くに見えた小林くんが振り向いた。


「えっ…どうした?早瀬っ」


「うんっ…えっと…」


「なんだよ」


「うん…あのね?ちょっと小林くんに聞きたいことがあって…」


「聞きたいこと?」


「そう…」


「……分かった、とりあえず座るか?」


そうして私達は、駅前の小さな噴水前のベンチに、少し距離をあけて座った。


「…で?聞きたいことって?」


「うん…そのー…くだらないことなんだけど、やっぱ単純に気になって…」


「だから…なにが?」


そして私は思い切って口を開いた。


「小林くんは……私のこと好きだったって言ってたけど、どこが良かったのかなって…」


「……はい?」


「や…だから、小林くんとは三年の時しかクラス一緒じゃないし、なにか…きっかけがあったのかなって…全然心当たりなくて…」


「あー…」


「ほらっ、今後の参考にさっ」


「なんの参考だよっ」


「ははっ…やっぱり、本人に聞くもんじゃないよね?ごめん…」


「……いいよ」


「え…?」


「話しても」


「本当にっ?」


「あぁ…けど、俺の方がくだらないかもな?」


「え…?どういうこと?」