それから陽は抜け殻のような毎日を過ごした。

何をやるにもやる気が出ず、テストで満点を取っていた陽は日に日に成績が悪くなって言った。

そこに陽の事情を知っていた幼馴染のクラスメイト、《立川 雅人(たちかわ まさと)》が割って入ってきた。

小さい頃から陽が好きだったらしい雅人は何を考えたか今がチャンスだと、傷付いている陽に漬け込み、告白した。

陽は荒れに荒れて雅人の告白をキッカケにまた異性と付き合い始めた。

誰かと付き合って、話せば少しは悲しみが紛れた。

1年が経ち2年生になろうとしていた時、陽は母から再婚するという事を告げられた。

初めは自分の母親は頭がおかしいのではとさえ考えた。

あんな酷い目に遭ってまだ男をつくるのか。

だが陽の母は大丈夫、優しい人なんだと幸せそうに話した。

陽は奏が亡き今、母の幸せが最優先事項だった。

言いたいことを全部ひっくるめて押し込み、笑顔で母にいいよ。と答えた。

新しい父の転勤で、2年生からは隣町に転校することになった。