「もういいっ!とにかく渓渡は浮気なんてしないから!」
無理矢理会話を終わらせて渓渡を見ると、大きな声で言い争っていたからか、渓渡が不思議そうな顔してこっちを見てた。
もしかしてまた仲良しだと誤解してる!?
“違うからね!”
そう意味を込めて、手を振ろうとした時だった。
「えっ…」
その手をとられて、引き寄せられる。
「…は?」
気付いたときには、目の前にイケメン転校生の整いすぎた顔。
「紗英」
ちょっとだけ低い声で、イケメン転校生が私の名前を呼ぶ。
顔はやっぱり――笑顔。
「…遊ばれてバカな女」
蔑むようにそう言って、チュ、とキスが落とされた。