完璧だと思っていた作戦がまさかの見破られていたと分かり動揺する私。



だけど京星くんは表情を変えないまま




「…おまえこそ」




ハヅキと向かい合う。





「紗英のことどう思ってんの?」



「…は?」



「好きじゃねーの?」





ふ、と一瞬、ハヅキの腕の力が弱まった。




「…スキ?俺がさぁちゃんを?」



「ちげーのか」



「…ふっ…はは、うけるー」




棒読みのハヅキの声。全然うけてない。




「寝言もほどほどにしなよ?キョーセーくん」



「寝てねーよ今は。じゃぁ手はなせ」




京星くんが一歩、私とハヅキに近づく。




「紗英を解放しろよ」



「…キョーセーくんに指図される筋合いはないんだけど?」





私の頭の上で無言で視線を戦わせるハヅキと京星くん。








そのとき。





『完全下校時刻になりました。まだ校内に残っている生徒は速やかに――』






「かーえろ」




流れ始めた校内放送に、ハヅキがパッと私から手を離した。