「とりあえず何か食うかぁ」
京星くんがいつもは真っ直ぐ行く道を右に曲がる。
しばらく真っ直ぐ行くと大きな駅があって、その周辺はたくさんのアパレルショップとかゲーセンとか、食べ物やさんで溢れてる。
京星くんの後ろをついて歩きながら、キョロキョロと辺りを見渡した。
たくさんのオシャレなお店があってつい目を奪われてしまう。
あ、あのパンケーキ、おいしそ…。
「食う?」
気づいたら足を止めていた京星くんが聞いてきた。
「え」
「あの…恋するプレミアムハニースペシャルパンケーキ?」
ついさっきまで私がガン見していたお店前のポスターを真顔で読み上げる京星くん。
なんてこったい。
あんなカフェ…たぶんお店のお客100%女子かカップル。
男子が好きでもない女子と行くなんて拷問…!とたしか、前に渓渡に言われたことがある。
「いやいや!いいよ!ご飯ならさ、もうちょっと先行けばたしかラーメンとか…!」
「でも食べたいって顔に書いてある」
「うっ」
「いいじゃん」
京星くんがパシッと私の手を取った。ドキッと心臓が跳ねる。
「カップルっぽいこと。だろ?」