「つっても。具体的にはカップルっぽいことって全然わかんねーんだけど」




校門を出て、京星くんと並んで歩く。




今日もリュックの肩紐を、気怠そうに片方だけ肩に引っ掛けた京星くん。





「…あ、あの、京星くん」




そんな京星くんに遠慮がちに話しかける私。





「私の彼氏のフリなんて承諾してくれてほんとに感謝してるけど…その、放課後とか、プライベートまでは大丈夫だよ?ほんとの彼氏じゃないんだし…」



「でも口でなんつったって、すぐ見抜かれんぞ、こんなの」





だったら、と京星くんが前を向いたまま続ける。





「一回くらいデートしといた方が、俺たちの親密度も高まって、ぽくなんじゃねぇ?」



「し、親密度って」





京星くんは私なんかと高めちゃっていいんだろうか、そんなの。





心配になっている私を見て、京星くんがフッと笑った。





「安心しろ。本気にはなんねーから」