「え」
隣を見ると京星くんが八重歯を見せて笑ってる。
「今日俺、部活オフなんだよね」
「あ、そうなんだ!」
今日は木曜日。
木曜日が部活オフの日なのかなぁ、なんて考えていると、なぜか呆れたようにため息をつく京星くん。
「いや、それだけ?」
「え、何が?」
全く意味が分からない私。
痺れを切らしたように、京星くんが机を寄せてきた。
「俺と紗英。嘘とはいえど、付き合ってる設定だよな?」
「え?
う、うん」
小声。
「じゃぁ一緒に帰ろうぜ」
「一緒に帰っ…えぇ!?」
「…なぜ驚く?」
「だって約束して一緒に帰るってなんか、カップルみたいだし…!」
「カップルだろ」
意地悪く京星くんが笑う。あ、この笑顔もなんだか懐かしい。
「カップルっぽいことしよーぜ」