「…ふーん。趣味悪いんだねー、キョーセーくん」
「ほっとけ」
クスクス笑ってるハヅキと、そんなハヅキを仏頂面で見返す京星くん。
「…と、とにかく!」
二人の真ん中で立ち上がった。
ハヅキに向き直り、スッと息を吸う。
「…私たち、ほんとに付き合うことになったから。というわけで、私と…別れてください!」
あ、やばい、思ったより声が大きかった。
クラスがシンと静まり返り、何事かと注目されているのを感じる。
ハヅキは笑顔のまま。不自然なほど、一ミリも変らない。
「…あっそ。ま、好きにしたら?」
感情の読めない棒読みでそれだけ言うと、フッと私から顔を逸らした。
「あ、ねぇ。一時間目の数学の課題見せてくれる?」
そして近くにいた女子に話しかけ始める。
まるで何事もなかったかのように、女子とイチャつくハヅキ。
…なんだ。意外と。超すんなり。
…よかった。
ホッとして席に着く。あー。なんか。安心したら眠くなってきた…
「…おい。目、半開き」
クイッと制服の、肘あたりを引っ張られた。