でも、美帆は驚くほどに
冷静だった


まるでこうなることを
悟ってたかのように


「大事なものって失ってから
初めて気付くっていうけど
遅すぎるよ…准くん」


「………」


「愛里の誕生日」


「え?」


「愛里の誕生日いつか
覚えてる?
去年の夏准くんが奈緒子
さんに会った日だよ。」


まさか…だって
愛里は何も言わなかった


「奈緒子さんと会ってたこと
愛里は知ってるよ
でも、准くんと離れたく
なくて黙ってたの」


そんな…
俺は愛里をどこまで深く
傷付ければいいんだろう