「ここに付けたよ!」



『そんなに嬉しかったのかよ』



「うん!だって伶からのプレゼントだもん!」



うわ、我が姉ながらその笑顔の破壊力は半端ねぇって…。湊なんか顔は勿論首まで紅いぞ?



『そりゃ、良かった』



嬉しそうに笑う美玲に俺まで嬉しくなった。



あ、ピアスはその後ちゃんと美玲の手に渡った。





次の日、愛美にお礼のメールしてなかったなと思ってメールを作成した



”今日は、ありがとう。楽しかった。また今度もデートしてくれるか?”」



どうしても文面だと素っ気なくなってしまう…。今度、湊にでもメールの打ち方聞いてみるか…。



それから、授業中でも愛美からの返信を今か今かと待ち続けたが返信は返って来ず返って来たのは俺がメールしてから丸半日以上が経った頃だった



”伶くんこちらこそ、楽しかったよ、うん、また機会があれば…”



愛美にしては簡素で何かしてしまったかと考える…が何も思いつかない



『俺…、何しちまったんだろ…。』



自分で考えても埒が明かないと考えた俺は湊に明日相談しようと決めた



『なぁ、湊。』



「んぁ?」



今も誰かと何かを携帯でやり取りしている湊にチャンスだと思い声を掛けた



『…、始めは返信が早かったやつが半日以上間を開けて返信する意味は…?』



「なんだよ?珍しい事聞くな?あー。でも、それって必要以上に話す必要が無いってことかもな。」



『……、だよな…。』



「あ、俺、呼び出されたから行くな?」



そう言って出ていった湊。



湊が居なくなって静かになった幹部室。一人で物事を考える最適な空間だった



だけど…、考えるまでもなくほんとはどこかで分かっていた、けど認めたくなかった…。



ほんとはとっくにわかってるんだ、こんなに愛美が気になるのも返信が遅いことを気にするのも全部全部、……、愛美が好きだから。だということに。



『……、俺だせぇ』



誰もいない幹部室に俺の自嘲した声が響いた


伶くんと連絡を取り合わなくなって早数日。同じ学校でもない私たちは連絡を絶ったら会う機会もない



伶くんに、会いたい。と思うほど、会ったこともない伶くんの彼女さんに罪悪感が沸く



「愛美、どうしたの?元気ないよ?」



元気が取り柄の私の元気がないと彩が心配そうに私の顔を覗き込む



『……、ちょっと…ね』



「親友でしょ?なんでも話してよ」



『彩…、うん、そうだね』



それから私は吐き出すように彩に話した



「そっか…、私が知らないうちにそんな出会いがあったんだね」



へぇ、そっかぁ。と零す彩



「愛美は、その人に彼女さんが居るって言うけど、その彼女さん見たことないんでしょ?ならいないって可能性全然あるじゃないの…?」



こてんと首を傾げながら自分の考えを私に話す彩



『……、そう、だけど…』



彼女でもない人へのお土産にあんなに真剣になる…?と彩にそのままぶつける



「うーん。それは、私はその伶くん?って人じゃないから分かんないや…、ごめんね」



『…そうだよね』



「あ、聞けばいいんじゃない?」



名案!とでも言いたげな表情で彩が私に提案する



『え…、いや…』



聞けないから悩んでる訳で…。


だけどキラキラしてる彩の笑顔に水をさしたくなくてなにも言えなかった



「じゃあ、今日の放課後、その人の高校に行って聞こ!!」



『え、あ、…うん』



こうして、伶くんの通う高校へ行くことが決まった



「ね、愛美、その人が通ってる高校ってホントにここなの…?」



嘘であって欲しいと顔に書いてある彩にうんと頷いた



彩がそんな顔をするのも無理はないだってここは頭が良くて有名な私立の学園だけどその大半は所謂不良生徒だ。ほとんどがどこかの暴走族に属しているらしい



校門の前で二人で伶くんが通るのを待つ



その間も他行の女子生徒が校門前に居る事が珍しいのかじろじろ見られた



待ち始めて数分、私が知る顔が校門から出てきた



『彩、あの人…』



伶くんを見つけて彩に教える



「え…、めちゃめちゃイケメンだね…?」



『あ、あの!れ、…』



伶くんと言おうとしたがそれ以上私の口は言葉を紡ぐことはなかった。だって…。例のストラップを付けている女の子の手を繋ぎながら走ってる姿を見ちゃったんだもん。


「え…、うそ」



私に気づくこともなく数十メートル先を走って行った伶くんと彼女



『やっぱり、居るよね』



一瞬しか見えなかったけど女の子はすごく綺麗で女の私ですら見とれる美人だった




「ま、愛美…?」



『ほらね、私が言った通りだったでしょ?伶くんには彼女が居るって』



最初から分かってたじゃん、なのにどうして涙が溢れてくるんだろう…?



「愛美…。ごめん、私が確かめに行こうなんて言ったから…。」



『彩は悪くないよ、遅かれ早かれ事実は変わらないし。…帰ろっか。ここにはもう用ないし』



「う、うん」



そのあと中々泣き止めない私に彩は私の家に泊りなよと声を掛けてくれた。正直こんな状態で家に帰って部屋に戻ったら一人でずっと伶くんのことを考えてしまうだろうからその好意に有り難く甘えさせてもらった



一瞬愛美らしき人物を見た気がして振り返るが愛美は居ない。当たり前か、ここは俺が通う学校で愛美は別の高校だし、ここからは少し距離がある



『居る訳ねぇよな…。』



「伶?」



『あ?』



「手、いつまで繋いでるの?ブラコンだって自覚はあるけど流石に外でまでずっと手繋いでるほど私重度じゃないよ」



繋いでいた手を離すと後ろを振り返ってまだ来てるわ…。逃げよ?と声を掛けてきたのであった



どうして、俺らが手を繋いで二人で逃げていたのかと言うと、それは数時間前に遡る