目の前の馬鹿女に呆れてものが言えない
『てめぇ、いい加減にしろよ。陣は誰のものでもねぇって言ってんだろ。分かれや、それとも、そんな事も分からないほどの馬鹿なのかよ』
ついつい喧嘩腰に言葉を発してしまった私に女の顔が怒りで真っ赤に染まる
「うるさい!!」
私に振り上げられた手そのまま振り下ろされた。そして、パシンと乾いた音が響いたが私に痛みがくる事はなかった
「…てぇ」
だって、私を守るよに立ちはだかって平手打ちを食らったのは陣だったから。
「え?あ…、」
陣を叩いてしまった事で熱も冷めたのか青くなる女
「…、俺の前に二度と現れるんじゃねぇ」
今まで聞いて来た中で一番低く冷たく吐き出された声。
「ひっ、」
女は怯えたよう去っていった
「…、っ」
女の姿が見えなくなった瞬間その場に座り込んでしまった陣。放っておくわけにはいかず、目の前が公園だった事もあり陣にちょっと我慢してと声を掛けると陣を連れて公園へと踏み入れた
人が居ない公園のベンチに陣を座らせ、平手打ちされ赤くなって居る陣の頬を見て何か冷やせるものと思って視線を彷徨わせると自販機が目に入った
自販機で陣の分と自分の分を購入して陣が座るベンチまで戻った
はい、っと陣の赤く腫れた頬に冷たいお茶のペットボトルを当てた
最初、その冷たさにびくっと震えたが冷たさが丁度良かったのか素直にペットボトルを受けっとた
黙って陣の座るベンチに腰掛けた。暫くの沈黙の後陣が口を開いた
「……、聞かないのかよ、さっきの」
あのムカつく女の事だろうとすぐわかったが私は…。
『聞かないよ、言いたくない事無理に聞く事なんかしないから安心して』
「……変なヤツ」
ふっとその時私の前で陣が初めて笑った。
『そっちの方がいいよ、笑ってた方が』
笑ったのを見られたのが恥ずかしかったのかそっぽを向いてしまった陣
「……咲。」
『……え?』
「って、呼んでもいい?」
初めて陣に咲って名前で呼ばれた事に驚く。今まではアンタとかお前とか…。とにかく名前で呼ばれたのは初めてだった
『う、うん!』
「……あと、今まで睨んだりとか嫌な態度取ってごめん。」
『ううん、私だって最初から受け入れられると思ってなかったからいいよ』
「……あれ、嬉しかった。俺は誰のものでもないってやつ」
『だって、それは事実でしょ?陣は誰のものでもないよ。陣は陣だけのものだよ』
「そっか。ありがとう。」
そう言って花が綻ぶ笑顔に私の胸は高鳴った
ドキドキいう鼓動にあぁ、私って単純かも知れないと自分に呆れながらこの人の事もっと知りたいと思うようになった
少し公園で休んでから倉庫に戻るため帰り道を二人並んで歩いた
行きは私の後ろから陣がついていくような感じだけど今はちゃんと横に並んで歩いてくれてる
これは…、大分前進だよね。と心の中で細く笑った
倉庫の入り口に着くと遅かったね。買い物ありがとうと美玲が待ち構えていた
私は美玲に買い物袋を渡すとそのまま面子たちと遊ぼうかなとそちらの方へと方向転換した
「咲。お前はこっち」
私の手を掴んで幹部室に連れてきた陣。その様子を見て美玲は驚きを隠せないで居た
「え?え!いつから、名前呼ぶようになったの?!」
興奮気味の美玲を置いて二人で幹部室に上がる
「おー陣、咲、お帰り……、え」
幹部室に居た伶が声を掛けて私の手を陣が掴んでる事に驚いている
『ただいま』
そんな視線に気づかないふりして挨拶を返した
「咲、こっち座って」
陣は陣で買い物に行く前とは別人のように私に話しかける
遅れて入って来た美玲が困惑していたが嬉しそうに私達を見ていた
「これで、問題も解決したね、伶」
「みたいだな。」
そんな会話を聞き流しながら陣が私に話す内容をずっと聞いていた
ここから先、伶×愛美編です。
※伶のキャラ崩壊気味なのでキャラ崩壊が無理な方はこの先あまり読まない事おすすめいたします。
リクエストや感想を多くいただいたので短編として書かせていただきました
これは数年前に遡る
いつもは蝶華でペアを決めてパトロールするが今日は自主的に最近荒れてるという噂を聞いた為様子を見がてらパトロールする事にしていた。
表通りは大して変わらない雰囲気だった為裏路地に入るとさっきまでの賑やかさは無くなり怒鳴り声、バチンという音
…やっぱりここの地域は治安が最悪だなと思いながらも音の現況を探す
辿り着くとごちゃごちゃ言ってる男たち
『お前ら、ここをどこだと思ってんだよ』
「あ?誰だよ兄ちゃん、てめぇには関係ねぇだろうが!!」
っち、うるせぇ
『…黙れよ。』
弱めるのも忘れて殺気を出しまくる
「な、なんだよ」
『黙れよ。って言ってんだよ。聞こえなかったか?』
ひぃっと情けない声をあげる男たち
『…てめぇらは何してたんだ?あ?』
殺気垂れ流しのまま睨めばまたひぃっ男が腰を抜かして下がる。
まあ、大体状況見りゃ分かる。強姦しようとしてたんだろうな…。
女は尋常じゃないぐらい震えてて可哀想になるほどだ…。まぁ、女の顔は裏路地が暗いせいで全くわからないが。
『っち…』
「お、おい、こいつ、蝶華の…」
「ま、マジかよ、に、逃げるぞ」
『逃がすと思ってんのか、よっと』