「この前ね、雨の日にここでいる狭霧君を見たことあるだ。」


「嘘、、。」




「そんな驚かないで、たまたま目に入ったの。

古い破れて雨もりのするトタン屋根
それに落ちる激しい雨音
下で室内練習をする野球部の声...」



湿布を貼り終えて一度彼のほうに目をやると
この前見せつけられた極道の姿ではなく


私がよく知ってる
大きな背中を小さくして、いつもどこか不安定な彼の姿。



...あぁ、やっぱり。



「ここは、声をあげて泣くのに最適な場所。
きっと狭霧君の秘密基地。」