人がいると気づいて彼に逃げられないよう
教室からは見えないようにしゃがんで隠れ身を潜める。



私の存在なんか気づいてない彼は
なんの躊躇もなく教室から
ベランダへ出る扉をガラガラと開いた。




「2週間ぶりだね、狭霧君。」



彼がベランダに出てくる足音を確認して
こちらに気づいない彼に目を合わさず話しかけた。




「......え?、皐さん??」



「逃げてたんでしょ?家から。
今までよく逃げ切ったもんだよ。
狭霧君は家出少年としては優秀みたいだね。」



なんでここにいるのと驚く彼を無視し


「手の怪我は、、、。
大丈夫だったみたいだね。」



「あぁ、骨は綺麗だったよ。」




「......狭霧君はよく逃げたよ。
でも、私の方がやっぱり優秀みたい。」



彼の痛々しい色になった手にたまたま持っていた湿布を取り出して貼ってあげながら話を続ける。