なぜなら山が近くにあり、川も近くにあり、
そのせせらぎを聞くことができる場所だからだ。つまり、わずかだが俺の好きな自然を直に感じられる、数少ない場所なのだ。そのうえ俺の秘密基地のような場所でもある。だからこそ俺は、人生最後の場所に、この場所を選んだのだ。
 ビルの中はより薄暗く不気味さが増して感じられる。だが、建物に染み込んだカビの匂いは好きだ。ギシ、ギシ。今にも壊れそうな錆びた階段を