街に慣れてしまっていることもある。それよりも、俺の大好きな大自然を感じることができないのだ。
 歩き続けているうちに、街外れにある古いビルの前まで来ていた。今となっては使われなくなっており、昼間だというのに人の気配は全くない。そのうえ日当たりが悪く、草木が生い茂っており、昼夜問わず幽霊でも出そうなくらい、薄気味悪い。普通のひとからまず、自ら進んでくることはないだろう。
 しかし、俺にとってこの場所は特別な場所だ。