「どうした?弁当忘れたのか?」
その言葉ではっと我に返る。
「ち、ちゃんと持ってきたわよ」
鞄の中に手を突っ込んで、お弁当を机の上に出した
つもりだった。
ガサッ、とビニール袋の音が鳴って
何かと思ったら……
なんと、私が机の上にお弁当だと思って置いたものは、お弁当ではなく
チョコマフィン。
え
え?
え!?
竜二をちらりと見れば私の手元をじっと見ていて…
慌てて隠そうとしてもそんなの怪しすぎる。
頭の中はパニック状態。
何を言えばいいのかわからなくて、
どうすればいいのかわからない。
も、もう……渡すなら今しかない!!!!!
「あ、あげる!!!!!」
綺麗にラッピングした2個入りのチョコマフィンを押し付けるように渡した。
「は、花莉と明日葉に渡すために作ったんだけど、たまたま余ったの!!」
慌てていたせいで口から出てしまった言葉。
…もっと違う言葉はなかったのか、と後悔しても遅い。