そんなに一気に飲まなくてもいいんじゃないかと思う。
私がイタズラしといてそう思うのもなんだけど。








「……甘い」
飲み終わったあとにそう呟く竜二。




「お弁当でも食べたらその甘さも消えるんじゃない?」

「…そうだな。先に食べるか」




竜二はそう返事をしてから鞄の中からコンビニの袋を出す。
その袋の中から出てきたのは、おにぎり3つと焼きそばパン、それから缶のブラックコーヒー。




「ブラックコーヒー買ってたのね」

「これはいつもの昼用だ」




「へぇ」
なんて適当に返事をしてから、私も自分のお弁当を鞄の中から取り出そうとした

その時、私は中を見て思い出した。








鞄の中には昨日の夜に作ったチョコマフィン。





今日はバレンタインで、私はこれを竜二に渡さなきゃいけないってこと。








でも、…どうやって渡せばいいの?
渡す時の表情とか、言葉とか、タイミングとか……全然わからない。




花莉に聞いておくべきだった…。