竜二は私と繋いでない方の手を自分のズボンポケットの中に突っ込んで、取り出したのは500円玉。
…お金今持ってたんだ
なんて思いつつ見ていると
「京子はいつもの紅茶か?」
自販機に500円玉を入れて、私と目を合わせる竜二。
…この流れからして、奢ってくれるのだろうか。
さっき言ったこと…“飲み物買ってくれる約束”は嘘なのに……
「べ、別に…さっきの嘘なんだから、本当にしなくていいから……」
そう返すと、私が寒い時期になってからよく飲むホットの紅茶(無糖)のボタンをピッと押した目の前の彼。
「いや。さっきは正直助けられたからな。
その礼だと思ってくれればいい」
紅茶を取り出し口からとって、それを私に手渡してきた。
……ほんと…変なとこ真面目なんだから。
竜二を助けたのは、女の子たちが竜二に触れて欲しくなかっただけで……。
ある意味私のため、なんだけど……
「ありがとう」
ありがたく紅茶を受け取った。