心の中でそう認めたら、一歩二歩と足がどんどん動く。




女の子の何人かが詩優を追っていったから竜二の背後には誰もいない。

私は背後にまわって、ぎゅっと竜二のジャージの裾を引っ張った。




視線が集まる。




くるりと振り向いた竜二と、女の子たち。

なんだか緊張して、心臓がドクドクト早く動いて、手汗まで出てくる。





私は一呼吸してから、



「竜二、私に飲み物買ってくれるって約束…今守ってよ」



声を出す。




もちろんこれは嘘。
そんな約束はしていない。




ほかにもっと簡単に竜二を連れ出す方法はなかったのか、と自分でも思う。
……けど、残念なことにこれ以外思いつかなかったんだ。




なんでそんな嘘の約束をしたのか、そんな設定は一切考えていないから…

できれば早く私のこの嘘に乗ってほしい。





内心すごくドキドキしながら竜二の目をじっと見つめる。