それからなぜだか目を離せないでいたら、吉田さんはにこりと笑う。

勝ち誇ったような、そんな顔。
それからすぐに竜二の腕に自分の腕を絡めて、さらに密着していく吉田さん。




「……」




竜二は眉間にシワを寄せて、不機嫌な表情。
だけど、思いっきり抵抗はしていない。相手が女だから。




男だったら容赦しないくせに……。
女の子‪だったら密着するのも許すの?




…馬鹿竜二。
その腕振り払ってよ……。




胸がさっきよりもズキズキと痛んで、なんだか黒い感情に支配されてしまいそうだ…。





たたたっ

勢いよく私の横を通って走っていく人物。
はっと我に返って後ろを振り向くと、その人物は花莉で。




さっきまで私の隣にいたのに……
まさか、あの女たちの群れに行く気じゃ……




花莉は小さくて可愛いからそんなところに行ったら怪我をしてしまうかもしれない。




急いで私も後を追うが、花莉は女の子たちの群れの何歩か手前で立ち止まり、大きく息を吸って。




「もうハンバーグ作ってあげないもんっ……!!」




大きな声でそう言うと、今度は反対方向……出入口へと走っていく。