私も自分の鞄の中から昨夜作ったチョコマフィンを取り出して、花莉に手渡した。
「ありがとう!京子!」
「いえいえ」
天使かと思うくらい花莉は笑顔が可愛い。
朝から癒されるわ。
キーンコーンカーンコーン
校内に鳴り響くチャイム。
現在は8時40分。
あと5分で教室に入らないと遅刻になってしまう。明日葉は……今日も遅刻だろうか。明日葉は最近遅刻が多いからなぁ。
「じゃあ、俺は戻るから。何か困ったことがあったらいつでも連絡して」
詩優はそう言って、教室を出ていこうとした時。
詩優の袖を掴んで引き止めたのは花莉だった。
「花莉?」
「し、詩優にもチョコあげる…っ!」
花莉はまた鞄の中をごそごそと漁って、取り出したのはチョコがたくさん入った大きな袋。
その袋の中からいくつか取り出して、それを詩優の手に握らせていた。
「お腹すいたら食べてね」
「さんきゅ」
優しく微笑んでからぽんぽんと花莉の頭を撫でて今度こそ教室を出ていく詩優。