俺たちは丸めて置かれてあるマットを背もたれ代わりにして床に座り込んだ。
 何と大胆にも美咲ヶ丘さんは俺を抱き寄せて、しっかりと抱擁する。

「ちょ、ちょっと!」と俺は大慌て!

「ハイハイ。私に思いっきり甘えてイイから、このまま大人しくジッとしてなさーい」

 まるで小さな子供に言い聞かせるようなセリフ回しだ。
 しかも俺の頭を撫でるし。

「誰かが不意に入って来て、見られたらどうするんだよ!?」

「大丈夫、誰も来ないから」

「大丈夫って美咲ヶ丘さん」

 余計に不安になってしまう。

「凛と呼ぶ」

「え?」