廊下にいる間、こんな言葉のやり取りが行われた。

 真由は嫌な顔をしてこう言う。

「あの男、どこのクラスの人間なのかな? なーんかしつこい」

「だからさっきも言ったように、真由の隣に座っている天崎じゃーん」

 日比野嬢が説明するけど真由は理解しないようだ。

「天崎くんとか、天崎って言っているけど…そんな名前の男子は聞いた事ないんだけど」

「えー!? なーに言ってんの真由!」

 すかさず久保が尋ねる。

「じゃあ質問する。真由の隣に座っている男子は誰なのかな?」

「中井くん」

「中井くんは前の席、私の隣に座っているよ」と新島さん。

「木村くん」

「それも違う」と久保。

「じゃあ高尾…」

「それもだよ!」

「…」

 違うと言われて真由は頭の中が混乱した。