「クソォッ!」

 思わず堀田は杖を地面に叩きつけた。
 真由は杖を拾い上げ、堀田に手渡す。

「大事な魔法の道具なんでしょう? 粗末にしちゃダメだよ」

「…」

 複雑な思いで杖を受け取る堀田。
 真由は俺の腕をつかんだ。

「もうつまんないなー。帰ろう翔平」と言って俺を引っ張って、この場を去ろうとする。

「待てよエレナ! 帰るってどう言う事だよ!?」

「私はもう、堀田くんの彼女でも何でもないから。こんな所でずっと居てもしょうがないじゃーん? それと、私の事をエレナって呼ぶのはやめてくれない? 変に誤解されて、すっごく迷惑しているから」