「もう一度」

「う、うん」

 真由に促されて再度、堀田は魔法をかける。

 大きな声を出して呪文を唱えながら杖の先端を突き出すのだ。
 そう言えば、先端からは紫色の光が放たれない。
 何も出て来ないのだ。

 真由が俺に話しかける。

「翔平、何か感じる?」

「いや? 別に何も?」

 マジで何も感じないし。

「どうしたの堀田くぅーん? 何も感じないってよ?」