真由は女のコ同士親しいから香織ちゃんって呼んでいるけど。
 ゆっくりと真由の方に歩み寄って来た新島さん。

「うーん、ちょっとねー」

「ちょっとね?」

「真由、今から用事ある?」

「え? 用事? えーっと、別にないけど?」

「それじゃあ、ちょっと教室に残ってくれないかなー?」

「えー? どうしたのー?」

 新島さんは出入り口に向かって声をかけた。
 廊下で待機していた俺と久保、日比野嬢、浦本は静かに教室に入って来た。

 何事なのと不思議そうな顔をする真由に新島さんは着席を促した。