俺と真由の状況を心配してくれるのは他に新島さんもだった。

 新島さんは放課後、教室で真由と語り合った。
 この日は真由が日直の当番だ。

 皆が帰った後に軽く掃除とか机とか椅子の整理とかを1人で進めた。
 そして作業が終わって帰り始める頃に新島さんが教室に入って来た。

 驚きの表情で真由は新島さんに視線を向ける。

「あれー? 香織ちゃーん、中井くんと一緒に先に帰ったんじゃなかったのー?」

 俺は新島香織を丁寧にさん付けて名字で呼ぶ。
 中井と交際している彼女は真面目でおしとやかで優等生。
 可愛いし気さくな女のコだけど、俺は敬意を持って新島さんと呼んでいるのだ。

 新島さんの方は俺を『天崎くん』と丁寧に呼んでくれる。