「…そうなんだ」

 エイルの説明に奈緒の心境は穏やかではない。
 自分の妹が1人の男子の私欲のために心も感情も操られてしまったのだ。
 堀田ハリスって言う男子に怒りすら覚えてしまう。

「彼は元から魔法使いになれる素質を持っていたんですけど、それを過信してしまって自分の欲望のためだけに魔法を使うようになってしまいました」

「人間の愚かさだよね。特別な事が出来ると、つい私欲のために使ってしまうって言う感覚を持ってしまう」

「堀田ハリスに魔法を教えてしまった事を師範は後悔されているようですし」