逆さまの状態で手に持っていた箒を本棚に向かって、ゆっくりと大きく左右に振り始めるエイルさん。

 強い風に煽られて舞い上がる木の葉のように全ての本がパラパラと宙に舞い上がった。
 そして順番に下の棚から並んで行き、物の見事に全ての方が整頓された。

 しかも乱雑に並べていたのが、タイトル別と書籍の番号通りに並べられたし。
 驚きものである。

 精巧なマジックとは全く次元が異なる現象を目の当たりにしたのだ。

「す、すごい!」

 声を上げた私。

「こんな事、朝飯だよねエイルさん?」とニヤリとしたお姉ちゃん。

「ハハ! まあ!」エイルさん、照れ笑いしちゃう。

 私はトイレに行くために席を外した。