彼女が振り向いた時だ。

「おお…」

 サラサラとしたストレートの長い髪が良く似合う、ちょっと大人ぽい雰囲気の美少女に俺は心が奪われた。

 俺と同じクラス1年C組の女子だって事はすぐに分かった。
 こんな眩いコがいたなんて俺は気が付かなかったのだ。
 でもまだ、名前は知らない。

「ええっと、どこだろう!?」

 彼女はまだ財布を探している。
 埒が明かねーよなっと思った俺は財布を取り出して、オバちゃんに声をかけた。

「オバちゃん! 彼女が買った分はいくら!?」

「え?」と彼女は俺に振り返った。

 すかさず俺は話しかける。

「財布、忘れたんだろう? 代金なら俺が立て替えておくから」