母さんは目を覚ましていた。
  腰を痛めながらも動き回って部屋の片付けをやっている。

「大丈夫かい母さん?」と俺は声をかけて片付けの手伝いを始めた。

「私は大丈夫だよ」

「大丈夫なら安心だよ」

「にしても怖かったねー! 真由ちゃんが部屋の隅に立っていたビックリしたわー!」

 普段から気の強い母さんだから、少々な事でも動揺する事はない。
 でも真由がいつの間にか家に無断で上がり込んで来てリビングに立っていた時には、さすがに驚きは隠せなかったようだ。

「真由ちゃん! あなた、いつ上がり込んで来たの!?」と母さんは声をかけた。