「なーんで途中で電話切ったの!?」

「悪い悪い! 実は…」

 俺は背後から誰かに抱きつかれる衝撃を受けた。
 抱きつかれると言う甘い状態じゃない!

 完全なる羽交い締め状態である。
 俺の両腋の下から相手の腕が差し入れられ、後頭部辺りで両手を組んでいるのだ。
 制服に包まれた細い腕!

 まさかニセモノの黒沢真由!

「言っているでしょう? フィアンセをほったらかしにしちゃダメだって」

 不気味にニヤリとするニセモノ真由。

「天崎!? 天崎!? どうしたの!? 何が起きているの!?」

 スマホのスピーカーから浦本の呼ぶ声が響いて来る。