っが…!

 俺は目の前の光景に立ちすくんだ。

「ハイ、もしもし警察です。どうされましたかー?」

 スマホのスピーカーから響いて来る警察オペレーターの声。
 だけど俺、電話には出られない状況に陥ってしまった。

 目の前に真由が立っているのだから。

「た、真由…?」

 ゆっくりと歩いて来る真由。

「翔平、何してんの?」

「な、何してる…って」

 真由は目を細めて言う。

「翔平ったら意地悪。一緒に帰ろうとしたのにサッサと1人で帰っちゃうんだからー」

「別に俺は…」

「フィアンセをほったらかしにしちゃあダメじゃなーい」