俺は電話を切り、ポケットに護身用として入れていた防御アイテムを取り出した。
 キーホルダーとしても使えそうな洒落たデザインの小さな道具だ。

「これだ!」

 もちろん、コイツを使うつもりだ。

 これで心配はない! 

 …と思った時にハッとなった。

 しまった…

 肝心の使い方を把握していないのだ。

「今夜でも使い方、マスターしておくのよ」と浦本から言われていた事をすっかり忘れていたからだ。

 色々と慌ただしい事ばかりで気が滅入っていたから、気分転換でスマホゲームに夢中になっていたばかりに大事な事を忘れてしまうとは! 

 俺ってばバカ!